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演題番号06

両肘に集簇する紅色結節を生じた1例
中村考伸(自治医大付属さいたま医療センター皮膚科)

20代、女性
症例:40代女性
臨床診断:皮膚筋炎
現病歴:平成22年5月より左の手指関節痛を主訴に整形外科を受診。慢性関節リウマチを疑われ6月当院リウマチ科を紹介受診となる。リウマチは否定されたが、その際手指と両肘の皮疹を指摘され、7月中旬当科紹介受診となる。初診時両肘に集簇した紅色〜暗赤色の結節と右中指先端腹側に腫脹と皮下結節を認めた。

 


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[00017]座長のまとめです 返信 削除
投稿者:伊東慶悟<keigo@jikei.ac.jp>
投稿日時:2011/02/06 13:17:12

演者の中村先生をはじめ、コメントを頂いた福本先生、田中先生、阿部先生ありがとうございました。

最終病理組織診断:Palisaded neutrophilic granulomatous dermatitis (PNGD)

PNGDとは、変性した膠原線維に対するpalisaded and interstitial granulomaのパターンに加え、好中球浸潤を伴う病理組織学的所見で特徴づけられる疾患です。
臨床像は多彩で、この症例のように血管外肉芽腫として結節を形成する場合もありますが、自経例はinterstitial granulomaの方が主体で、体幹の浮腫性紅斑でした。

PNGDのもっとも大きな臨床的意義は、膠原病や血管炎などの潜んでいる自己免疫疾患の皮膚症状のサインとなることです。その意味で、福本先生がご指摘のようにこの症例は今後Churg-Strauss症候群に発展する可能性があり得ますし、逆に阿部先生の症例のように自然に治癒してしまうこともあります。中村先生には今後のfollow upと経過を教えて頂ければと思います。
また、田中先生がご指摘のように、肉芽腫性病変を論じる場合にはまず感染症の否定が前提になることも大切なポイントです。

最後に、PNGDに相当する疾患は私を含め、福本先生や阿部先生もご経験があるように、実はよく経験することだと考えています。特に大学病院などの総合病院で膠原病や血管炎をbaseとする皮膚病変を経験する先生は、過去に同様の症例を経験したことがあるのではないでしょうか?今までは、特定の診断名がつかないためにお蔵入りになっているのではないかと推察しています。そのような意味で私は病理組織学的所見から診断が付けれるPNGDという疾患概念を知っていることは重要だと考えています。しかし、あくまで病理組織診断名ですから、その後の臨床的検索とfollow upがより重要なことは言うまでもありません。

PNGDについて勉強する機会を与えて頂き、ありがとうございました。



(PC等)


[00016]PNGD 返信 削除
投稿者:福本隆也
投稿日時:2011/01/21 22:42:47

阿部先生、追加をありがとうございます。実は私も2例ほど血管外肉芽腫の経験があります。SLEに伴った例と、血液疾患に伴った例ですが、どちらも好中球は少なく、膠原線維の変性も軽度でした。
さて、血管外肉芽腫は、最初、1951年に、ChurgとStraussがアレルギー性肉芽腫性血管炎の皮膚症状の論文の中で述べたのが最初のようです(J Invest Dermatol. 1951 Dec;17(6):349-59. Cutaneous lesions of allergic granulomatosis; a histopathologic study.
STRAUSS L, CHURG J, ZAK FG.)。その後、Winkelmannらが、種々の膠原病などで出現することを報告しています。Wilmoth GJ, Perniciaro C.のCutaneous extravascular necrotizing granuloma (Winkelmann granuloma): confirmation of the association with systemic disease.J Am Acad Dermatol. 1996 May;34(5 Pt 1):753-9という論文によると、同様の病変が、rheumatoid papuleやinterstitial granulomatous dermatitis and arthritis, PNGD, limited cutaneous Wegener granulomatousis, Churg-Strauss granuloma, Winkelman granuloma, extravascular necroitizing granuloma, Churg-Strauss phenomenonなど種々の名称で報告さいれているようです。ですので、これらは同じものなのかもしれません。膠原線維アタック型反応については、膠原病研究会でも聞いてみましたが、似ているが、好中球が殆ど無い点が異なり、別の病変ではないかという意見がありました。これらは今後の課題と思います。
なお、今回の肘頭部の丘疹、小結節という臨床像は、これらの血管外肉芽腫のもっとも多い臨床像のようで、その意味では典型的な例ではないかと思います。


(PC等)


[00015]私の経験した症例 返信 削除
投稿者:阿部 浩之<habe@ndmc.ac.jp>
投稿日時:2011/01/20 16:21:51

興味深い症例ありがとうございます。防衛医大の阿部です。
ROMではいけないと思い、書き込みました。
日皮会誌の他、昨年9月の皮膚科の臨床にも報告があり、
最近流行のようですね。
4年前に40台女性、PSL10mg内服加療中のSLE患者の肘部に疼痛・発赤を伴う15mm大の皮内結節を生検し、類似の病理所見を認めた症例を経験しました(なお、各種培養は陰性でした)。
自験例の場合、SLEの病勢には関係なく出現し、腫脹・発赤は自然に改善しました。その後、4年間再発は認めていません。
何が引き金になるのか知りたいところです。
従って、私も演題6はPNGDと考えます。

(PC等)


[00014]Churg-Strauss症候群 返信 削除
投稿者:中村考伸
投稿日時:2011/01/19 21:12:36

伊東先生

中村です。
本症例は特発性肺線維症を以前より認めております。(肺生検にて診断がされています。)しかし
Churg-Strauss症候群の診断基準である、喘息の既往、好酸球増加、単または多発神経炎、肺浸潤、副鼻腔の異常、生検組織での好酸球増加はありませんでした。

(PC等)


[00013]膠原線維アタック型反応に関しまして 返信 削除
投稿者:伊東慶悟
投稿日時:2011/01/19 00:35:37

福本先生,中村先生,返信ありがとうございました.
好中球浸潤の有無が違いのようですが,私は下記のような理由から鑑別にあえて入れなくてもいいのではないかと思っています.
@おそらくPNGDと同じ概念だと思います.好中球浸潤の程度に関しては,炎症性皮膚疾患には共通して言えることですが,炎症の程度と時期と部位によって変わってきます.第1回インターネットCPCで安齋先生が提示された症例は,好中球浸潤が少なかったことから菊池病ではないかとの意見が出ていましたが,私は好中球浸潤が目立たないPNGDと考えています.
A文献を調べると,Monthly Book Derma, 2005 ; 99:8-16で初めて紹介された概念のようです.まだ国際的に広く認められているとは言い難いと思います.
B膠原線維アタック型反応という病名自体が,和製英語のようで個人的には異和感を感じます.PNGDは,病理組織学的所見をそのまま病名にしているので,病理診断をする側としては使いやすいです.
(PC等)


[00012]中村先生にご質問 返信 削除
投稿者:伊東慶悟
投稿日時:2011/01/19 00:07:15

中村先生,座長の力不足で質問ばかりしていて申し訳ございません.
福本先生のコメントにあったように,この症例がChurg-Strauss症候群である,またはそれがbaseにあってこのような症状がでている可能性が出てきました.
これを踏まえて,臨床的にこの症例はChurg-Strauss症候群の診断基準を満たすでしょうか?
具体的には気管支喘息の既往や,多発単神経炎や,肺浸潤陰影などはありましたでしょうか?

(PC等)


[00011]福本先生のコメント 返信 削除
投稿者:伊東慶悟
投稿日時:2011/01/18 23:45:20

福本先生,コメントありがとうございました.
Churg-Strauss granulomaというするどいご意見はさすがですね.Churg-Strauss granulomaとWinkelmann granulomaの違いも丁寧に解説して下さりました.福本先生の解説を読ませて頂くと,Winkelmann granulomaのほうがPNGDに近いように感じました.また,McKeeの教科書にはPNGDは,Churg-Strauss granulomaを含む概念であるという記載もあります.

PNGDという病理診断名は,私は好きでよく使っています.PNGDは病理組織学的所見からの診断名ですから,特定の疾患が決まるわけではありません.膠原病や血管炎を含む自己免疫疾患の一つの組織反応パターンだと思っています.昨年もSLEの患者と潰瘍性大腸炎の患者の皮膚生検でこの診断をつけました.なぜPNGDという診断が便利かというと,大学病院にいると感じるのですが,リウマチ・膠原病内科などの他科の患者の皮膚病変を兼科で診察することが多く,おそらく膠原病がbaseにあるのではないかと思われるのに診断基準を満たさないためにはっきり診断がつかない患者が多いからです.ですので,おそらくこの症例もChurg-Strauss症候群がbaseにありそうですが,診断基準を満たさないとChurg-Strauss granulomaとは呼べず,PNGDと呼んだほうがいいように思います.この点を演者の中村先生に質問してみます.
(PC等)


[00010]感染について 返信 削除
投稿者:中村考伸
投稿日時:2011/01/18 19:51:53

田中先生

演者中村です。組織像において膿瘍、類上皮肉芽腫、Langhans型巨細胞、異物型多核巨細胞などの化膿性肉芽腫を形成する構成要素は認められておりません。
残念ながら培養は提出してはおりませんので完全に否定はできませんが。また長風呂の習慣はないようです。

(PC等)


[00009]感染は否定できますか? 返信 削除
投稿者:田中 勝
投稿日時:2011/01/16 22:18:59

中村先生,安齋先生,

こんにちは.

むずかしい病名はさておき,non-tuberculous mycobacteriosisなどの感染症は否定できるでしょうか?
培養は出されていますか?
ぬるま湯に浸って長風呂するなどの習慣はありませんか?

東京女子医科大学東医療センター皮膚科
田中 勝
(PC等)


[00008]菊池病との鑑別について 返信 削除
投稿者:中村考伸
投稿日時:2011/01/16 21:13:56

演者中村です。菊池病(histiocytic necrotizing lymphadenitis)との鑑別ですが、組織学的に核崩壊物と壊死巣を認め組織球、リンパ球の密な浸潤を伴う疾患です。病理組織学的なPNGDとの鑑別点としては好中球の浸潤をきたさないことがあげられると思いました。
また臨床像として菊池病は微熱、リンパ節腫脹、白血球が認められますが本症例にはいずれも見ることができませんでした。
(PC等)
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